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あのときの遠い場所

 

小さい頃、当時住んでいたマンションのベランダからよく外をみていた。
遠くに細長い塔のようなものがあって、赤く光ったりしていて不思議だった。

 

その遠い場所は、少しこわかったけど、非常に興味をそそられた。
そこには自分の知らない世界が広がっていて、何か冒険のようなことをして行く場所だと思っていたと思う。

 

そのときの私の世界は家の中と、家から見ていた景色だった。
もちろん外には出ているし、色々なところに連れていってもらってそれは経験として蓄積しているけど、自分で決めて自分で動いているわけではないから、それはなかなか「自分の世界」には直結しづらい。
旅先でも、人に誘導されていると全然その街がどうなっているか把握できないけれど、自分で地図をみて、自分の意思で歩いてみると街のことが少し身近になるのと同じことだと思う。

 

先日練習しに福岡日帰りした飛行機の中で外を見ていたら、ふとそのときの感覚が蘇って来た。
「ああ、あのとき見ていた『遠い場所』に、行きたいと思えばもう私は自由に行けるんだ」
と思った。

自分で歩いて知る場所が増えてきた。
昔自分が見ていた景色も、今自分が歩いている土地も、全てが繋がっていた。

 

そんなわけで、
練習も同じと思うわけなのです。

今みている遠い場所に近づくときって、少しずつ移動できるようになっているからあまり気づいていない。いつのまにか、ああそういえば遠くに感じていたけど、自由に行けるようになったなぁと気づく。

 

以前にもブログで書いたけれど、
知ることが増えた分、無知であることもわかる。

 

遠い場所を近くに感じたとき、靄にかかったものの輪郭を少し捉えられたとき、自分の世界が少し広がったように感じます。

 
 

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