| ブログ
理想的な肉体美の備わった人物像を描くため古代彫刻の学習が不可欠と考えていたルーベンスが、小論《彫刻の模倣について》で『古代から長い年月を経る中で生じた人間の身体の衰えや運動不足により古代人に比べ自分たちの肉体が劣っていることを指摘する』 ということが書かれたパネルの前で、私はしばし考えに耽る。
(ルーベンスは1577-1640に生きた人。どうなるんだ現代2018)
(いや、忘れてしまったものと、逆に手に入れているものもあるはずだ)
そしてだからこそ『よく鍛錬された理想的な身体表現を習得するため古代彫刻を学ぶことが欠かせない』と述べる一方、模倣がはらむ危険性として『石と肉の質感に十分に注意せねばならない』と言っていること。
それをルーベンスは素描の中で実践してみせた。『チョークやクレヨンが用いられ柔らかな線の効果をいかして、血の通う生身の肉体が描きとられている』
私が美術、もっというと美術史が好きなのはこれだよ〜。としびれる。
いろんな画家がそれぞれ、その時代ごと考え実践し前例を壊し作り直し批判され賞賛され影響し影響され苦悩し喜び、そうして見出し繋がっていった美術史が好きなのです。人間の営み!